未来を約束するということ

ソーシャルベンチャーの集積地、シアトル。いつもの充実した日々を何十倍にも濃縮して、たった一時で咀嚼するような濃厚な二週間。僕の起業家としてのあり方は、ここで、変わってしまった。

 

”炎”という詩から全ては始まった。薪をくべないと、炎は燃え広がらない。ただ、薪をくべすぎると、炎を消えてしまうんだ、そういう比喩から、僕らの遊離は始まる。日常から離れて自分を取り戻す。あえて、日本と違うコンテクストの中に身をおいて見る。異なるエコシステムの中で関係を築く。思い出すと、スリルと興奮が蘇ってきた。ドキドキするような、二週間だった。

 

英語で自らの活動や自身の事を語れ、というだけでも、僕には挑戦的な課題だった。たどたどしく、英語で自分の事を語れるようになった時に、転機は訪れる。

「君は起業家として、何を約束しているのか」という疑問がふつふつと湧いてきたのだ。僕は「確実にできること」しか、約束していない事に気がついてしまった。プロフェッショナルとしての約束と、起業家としての約束を履き違えてしまっていた。

すると、僕の語りは変わりだした。未来から話を始めた。3年後にどういうイノベーションが起きて、5年後にそれがどう広がっていて、10年後に世界はどう変わっているのか。それを始めて伝えた時に、聞き手の感情にようやく触れて、拍手の鼓動に後押しされた。未来を伝えることが先なんだ、と体で理解することができた。

 

今の僕の目標は「皆の力を合わせれば、変わるはずの未来」だ。未来を書き換えて行くのが、起業家の仕事なんだ。「自分の手の届く最大限の範囲」を考えるんじゃないんだ。思い切って、そこから手を離すことなんだ。僕らの仕事は、目の前にある現実をそのまま前に進めることじゃないんだ。そういうことが体に落ちた後、僕のスイッチは変わってしまった。

僕はこれまで、「プロフェッショナル」として、生きてきた。だから、どういう価値を約束するのか、こだわってきたし、それをコントロールすることに細心の注意を払ってきた。顧客にどういう言葉を吐くか、どういう立ち振る舞いをするか、どういう間を取るか、いつも、考えてきた。事実から考えて、限られた条件の中で、何が科学的にベストな解決策なのか、いつも、そう考えてきた。

そんな日々は僕に、構想力と安定感を授けてくれた。だからこそ、前に踏み出て、未来を書き換えていいんだ。

 

訪れた変化は、真摯に僕の英語を聞きづけてくれて、繰り返し繰り返しアドバイスをくれた人たちと共にあった。彼等の真摯な姿と、素敵な笑顔を忘れることはないだろうな、と思う。

冬の光が差し込む中、欧米の大学街の外れにある、iLEAPのオフィスとシアトルという街で。